京都の離婚、男女問題、慰謝料、財産分与、離婚調停の相談は弁護士馬場充俊

別居中の住宅ローンと生活費(婚姻費用)への影響

別居中,妻子が,夫名義の家に住んでいるとき,妻側が夫から生活費をもらっていないことがあります。しかし,夫は,妻子が住んでいる住宅の住宅ローンを支払っていて,自分自身もひとりで生活するための費用が必要であるため,お金に余裕が無いことも多いです。
住宅ローンを負担してもらうことで,家賃をかけずに妻子が住居に住むことができるので,生活費の一部を支払ってもらっていると言えそうですが,他に,食費・学費等の生活費を請求することができるか?

 

婚姻費用(生活費)の具体的計算方法

裁判所(調停,審判)では,現在,裁判所が採用している婚姻費用算定表の基準額に従い、夫・妻の収入に応じて計算され、支払金額の合意をするよう進められることが多いです。
住宅ローンを支払っていることを考慮して婚姻費用の金額を決めた参考事例(平成27年8月13日東京家裁)があります。
この事例では,住宅ローンの支払い額が毎月約8万9000円であった期間については,婚姻費用分担額から3万円の控除を認め,毎月4万5000円〜5万円ほどの支払いとなってからは,婚姻費用の分担額から1万円の控除を認めています。
夫が住宅ローンの支払いをしている夫名義の家に妻子が居住している場合であっても,婚姻費用を請求することは可能ですが,住宅ローンを支払ってもらっていることを考慮してその一部の金額が差し引かれることとなります。なぜなら、妻は住居関係費の負担を免れる一方,相手方(夫)は自らの住居関係費とともに申立人世帯の住居関係費を二重に支払っていることになるから,婚姻費用の算定に当たって住宅ローンを考慮する必要があるからです。もっとも,住宅ローンの支払は資産形成の側面を有していますので,相手方の住宅ローンの支払額全額を婚姻費用の分担額から控除するのは,生活保持義務よりも資産形成を優先させる結果となるから相当ではありません。そこで,当事者双方の収入や住宅ローンの支払額,相手方の現在居住している住居の家賃の額や家計調査年報の当事者双方の総収入に対応する住居関係費の額などの一切の事情を考慮し,本件では,次のとおりの金額を婚姻費用の分担額から控除するのが相当となります。
つまり,夫は,住宅ローンの支払いをすることで,妻子の住所に関する生活費を支払っていることになるけれど,その一方で自分名義の財産である自宅不動産の借金を減らし,財産としての価値を上げていることになるので,住宅ローンの支払金額全額を婚姻費用から「全額」そのまま差し引くことは不適切ということです。では,実際にいくらの住宅ローン支払金額を婚姻費用から差し引くかが問題となりますが,ここは,裁判所の裁量が大きく認められています。上記事例では,住宅ローン支払額に対して2〜3割程度の金額の控除が認められています。
離婚後の場合であっても,相手方名義の住居に住み続ける場合には,養育費の金額を決める際に同じ問題となります。算定表による算定結果から一定額を控除する方法の他に,住宅ローンの支払金額を特別経費として,差し引いて,算定表に当てはめる際の収入金額で調整する計算方法もあります。
住宅ローンや光熱費等を支払ってもらっている家に住んでいる場合には,婚姻費用の金額を婚姻費用算定表に当てはめただけでは支払ってもらえる見込額は分かりません。
支払額が少ないと感じたとしても,いざ計算してみるとすでに相場以上の支払を受けていることもあり得ます。調停申立等をすることによって,相手方の気分を害して減額されてしまう,というデメリットが生ずることもありますので,注意の上で調停申立等をすることが必要です。


 
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