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無収入

1 夫が退職した場合(賃金センサスを用いて収入認定がなされた例)

 夫が退職して無職であっても、潜在的稼働能力が存在すると認められる場合には、稼働能力に応じた収入を賃金センサスを用いる等して認定し、算定の基礎とされることになる。

 ・収入を0円と認定した例
 ・退職前と同程度の収入が認定された例

大阪高等裁判所 平成21年(ラ)第1262号、平成22年(ラ)第103号 婚姻費用分担(減額)審判に対する抗告事件,同附帯抗告事件 平成22年3月3日「歯科医である者が,勤務先の病院を退職し,大学の研究生として勤務しているために収入が減少したとしても,その年齢,資格,経験等からみて以前と同程度の収入を得る稼働能力があるものと認められるから,減少後の収入を婚姻費用分担額算定のための基礎とすることはできず,婚姻費用分担額の変更をやむを得ないものとする事情の変更は認められない。」

 ・賃金センサスをもとに収入を認定した例

 

2 夫が退職した場合(「勤務を続けていれば得べかりし収入」として認定された例

 夫が退職して無職であっても、潜在的稼働能力が存在すると認められる場合には、勤務を続けていれば得べかりし収入を認定する等して、算定の基礎とすることになる。

 

福岡家庭裁判所 平成17年(家)第1278号、平成17年(家)第1279号、平成17年(家)第1280号 子の監護に関する処分(養育費免除)申立事件「2 申立人は,勤務先を退職し,収入が無くなったのであるから,養育料について免除されるべきであると主張する。
 前記1(3)(4)によれば,申立人は,前件審判で定められた養育料を一度も任意に支払ったことがなかったところ,前件審判に基づく強制執行を受けたことを契機として,勤務先を退職したから,現在は収入を得ていないことが認められる。
 しかしながら,前記1(2)(4)によれば,申立人は,前件審判時から,強制執行を受けた場合には勤務先を退職して抵抗する旨の意向を有していたところ,現に強制執行を受け,裁判所により強制的に支払わされることに納得できなかったために,勤務先を退職したのであり,稼動能力は有していると認められる。そもそも,未成年者らの実父である申立人は,未成年者らを扶養し,未成年者らを監護する相手方に対し養育料を支払うべき義務があるところ,前件審判において,養育料の支払を命ぜられたにもかかわらず,一度も任意に履行せず,強制執行を受けるやそれを免れるために勤務先を退職したのであるから,申立人が現在収入を得ていないことを前提として養育料を免除するのは相当ではなく,申立人が潜在的稼動能力を有していることを前提として,勤務を続けていれば得べかりし収入に基づき,養育料を算定するのが相当である。
3(1) そして,養育料は,(1)当事者双方の年間の総収入から,公租公課,職業費及び特別経費を控除して基礎収入を算出し,(2)子が基礎収入の多い方の親と同居したと仮定した場合に子に配分されるべき生活費の金額を算出し,(3)この配分されるべき生活費を監護親と非監護親の基礎収入の割合により按分して算定される金額を参考として定めるのが相当である。
(2) 本件においては,前記2のとおり,申立人の総収入について,勤務先を退職していなかった場合に得べかりし収入に基づき算定すベきところ,前記1(5)によれば,申立人は勤務先を退職していなければ,少なくとも年額467万1931円の給与収入を得ていたと認められる。そして,公租公課,職業費及び特別経費を理論上及び統計上認められる標準的な割合に基づき差し引くと,申立人の基礎収入は,総収入の42パーセントの年額196万2211円であるとするのが相当である。
  4,671,931×42%≒1,962,211
  他方,前記1(6)によれば,相手方の総収入は,年額160万7736円程度と認めるのが相当であり,相手方の基礎収入は,総収入の42パーセントである年額67万5249円とするのが相当である。
  133,978×12×42%≒675,249
(3) そうすると,未成年者らの必要生活費は,基礎収入の多い方である申立人と生活した場合を前提とすることになる。そして,親については生活扶助基準に基づく最低生活費,19歳以下の子については最低生活費に加え教育費も考慮して生活費の指数を定めるべきところ,親を100とした場合,0歳から14歳までの子については55,15歳から19歳までの子については90とするのが相当であるから,未成年者らに費やされるべき生活費は,3人分合わせて月額10万9011円となる。
  1,962,211×(55+55+90)÷(100+55+55+90)÷12≒109,011
(4) 上記の金額を,申立人と相手方の基礎収入の割合で按分すると,申立人が負担すべき未成年者らの養育料の目安は,未成年者ら3人分で月額8万1101円となる。
  109,011×(1,962,211)÷(1,962,211+675,249)≒81,101
  そうすると,未成年者1人当たりの養育料の目安は,上記の金額を3で除した2万7033円となるところ,諸般の事情を総合考慮し,本件において申立人が相手方に対し負担すべき未成年者1人当たりの養育料は月額3万円と定めるのが相当である。
(5) 以上によれば,申立人は,相手方に対し,未成年者らの養育料として,1人当たり月額3万円を支払うべきところ,同金額は前件審判で定められた金額と同額であるから,養育料の免除を求める申立人の申立ては理由がないことに帰する。よって,主文のとおり審判する。」

 

3 妻・夫が共に無職の場合(潜在的稼働能力の有無が妻・夫で異なった例)

 潜在的稼働能力に応じた収入認定の際に、個別事情に応じて異なる賃金センサスの表が用いられ、金額調整される場合がある。

 

東京高等裁判所 平成15年(ラ)第2047号 婚姻費用分担審判に対する即時抗告事件 平成15年12月26日「総収入に対応して租税法規等に従い理論的に導かれた公租公課の標準的な割合並びに統計資料に基づき推計された職業費及び特別経費の標準的な割合から基礎収入を推定してその合計額を世帯収入とみなし,これを生活費の指数で按分して作成した算定表(判例タイムズ1111号285頁参照)に上記認定の抗告人及び相手方の各総収入額を当てはめると,抗告人の分担額は概ね月額6万円ないし8万円と算定される。このことに,上記(1)に認定した抗告人と相手方との紛争や,各自の生活の状況を加味すれば,相手方は,抗告人に対し,婚姻費用の分担として,平成15年4月以降各月7万円を支払うベきものとするのが相当である。」

 

大阪高等裁判所 平成20年(ラ)第914号 婚姻費用分担審判に対する抗告事件 平成20年10月8日「抗告人は,相手方が,長男を幼稚園に通わせ,長女を保育園に預けていることから,就業が可能であるので,少なくとも年収125万円程度の潜在的稼働能力があるものとして扱うべきである旨主張するが,潜在的稼働能力を判断するには,母親の就労歴や健康状態,子の年齢やその健康状態など諸般の事情を総合的に検討すべきところ,本件では,相手方は過去に就労歴はあるものの,婚姻してからは主婦専業であった者で,別居してからの期間は短いうえ,子らを幼稚園,保育園に預けるに至ったとはいえ,その送迎があり,子らの年齢が幼いこともあって,いつ病気,事故等の予測できない事態が発生するかも知れず,就職のための時間的余裕は必ずしも確保されているとはいい難く,現時点で相手方に稼働能力が存在することを前提とすべきとの抗告人の主張は採用できない。また,抗告人は,相手方が一方的に別居したことを考慮すべきであるとも主張するが,一件記録によれば,夫婦間の口論あるいはののしり等が高じた末,相手方が腹に据えかねて自宅を出て行った面もあり,一方的に相手方に非があるともいえないから,抗告人の上記主張も採用し得ない。」

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